2025年に開催予定の大阪・関西万博の目玉として注目されている「空飛ぶクルマ」と呼ばれる乗り物。次世代の航空モビリティとして期待されて、新しい交通手段となり得るものといえます。
ただし、経済産業省は空飛ぶクルマを「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と称しています。この言葉からも、見た目からも車(自動車)とはほど遠いといわざるをえません。むしろドローンやヘリコプターに近いといえます。
現在、空飛ぶクルマは陸路と空路どちらも走行する機体というより、空路での移動を中心に据えた検討が進んでいます。「航空機」と称されていることから、車ではなく航空機として分類されているのです。
にもかかわらず、なぜ空飛ぶ「クルマ」と呼ばれるのでしょうか。今回の記事では、空飛ぶ「クルマ」と呼ばれるのか、考えられる理由を紹介するとともに、ヘリコプターとの違いはどこにあるのかも合わせて紹介します。
- 見た目は車ではないのに、空飛ぶ「クルマ」と呼ばれる理由が知りたい
- 空飛ぶクルマとヘリコプターはどのような点が違うのか知りたい
- 空飛ぶクルマが普及するとどんなビジネスが生まれるのか知りたい
このような興味を持っている人は、ぜひ最後まで読んでください。
なぜ、空飛ぶ「クルマ」なのか?
繰り返しになりますが、空飛ぶクルマは「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と称されています。
- 電動
- 垂直離着陸型(滑走路不要で離着陸できる)
- 無操縦者航空機(自動化技術が施されている)
この3つが空飛ぶクルマの特徴です。
にもかかわらず「クルマ」と呼ばれていることに対して、自動車評論家の国沢光宏さんは「道路を走り、空も飛ぶ空陸両用の『フライングカー』が海外で出回っていた影響だ。日本では親しみを持てないと普及しにくいし、個々の移動手段を印象づける意味もあってクルマとしたのだろう」と読み解いています。
国としても「空飛ぶクルマ」を普及させたい意図があるので、見た目はクルマっぽくないにしてもあえて「クルマ」と表記しているのかもしれません。
なぜ、空飛ぶ「クルマ」なのか?この問いに対して結論づけはできませんでしたが、安全の確保に向けた航空法規や保険制度の整備が進んでいくことで、名称が変わることもあるかもしれません。
空飛ぶクルマとヘリコプターの違い
車(自動車)よりも、ドローンやヘリコプターに近いと呼ばれている空飛ぶクルマですが、ヘリコプターとの違いが存在します。どのような点において違いがあるのか、以下で紹介していきます。
部品数が少ない
動力が電動化されたことで、空飛ぶクルマはヘリコプターと比べて部品数が少ないといえます。なので、整備コストが下がると予想されています。
騒音が軽減される
ヘリコプターと騒音問題は切っても切れない関係にあります。ヘリコプターはエンジンと長大なブレードから大きな騒音が出てしまうからです。
一方で、小さなプロペラを回す空飛ぶクルマは、ヘリコプターに比べると圧倒的に騒音が軽減されます。普及するにはまだまだ改善の余地がありますが、ヘリコプターと比べると雲泥の差といえるでしょう。
将来的に自動運転化となる
空飛ぶクルマは「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と称されているくらいなので、将来的には自動運転化される見通しです。遠隔操作などで自動運転化されれば、人件費や運用コストの低減が期待できます。
とはいっても、安全性への懸念など社会受容性を向上していく課題はまだまだ尽きないので、時間をかけて空飛ぶ車の安全性を証明していく必要があるでしょう。
垂直離着陸できる
空飛ぶクルマは垂直離着陸ができるので、ヘリポートや滑走路などの広い施設が必要ありません。小規模な離着陸スペースが確保できれば運用可能といわれています。
空飛ぶクルマ専用のヘリポートは、Vertiport(バーティポート)とも呼ばれています。まだまだ馴染みが薄いですが、空飛ぶクルマが普及するにあたっては必要になるものなので今後増えていくでしょう。
空飛ぶクルマが普及することで生まれるビジネス
今後、空飛ぶクルマが普及することで、どんなビジネスが生まれていくでしょうか。以下で紹介していきます。
空飛ぶクルマ保険
自動車保険(任意保険)と同じように、空飛ぶクルマ向けの保険ができることが予想されます。大手保険会社の『東京海上ホールディングス株式会社』は、2025 年の空飛ぶクルマの運航事業開始にあたり、空飛ぶクルマ向けの保険を開発しているようです。そのほかの保険会社も同様に、空飛ぶクルマ向けの保険を開発しています。
ヘリタクシー(エアタクシー・空飛ぶタクシー)
ヘリタクシーとは、陸路ではなく空路を使った2点間の移動をする乗り物です。交通渋滞の解消や過疎地域、離島へのアクセスなど、移動や物流の分野で大きな期待を寄せられています。
すでに現在もヘリタクシーサービスをおこなっている企業はありますが、2025年に開催予定の大阪・関西万博で実用化されます。全国的に広がっていけば、新たな交通手段として参入する企業が増えていくでしょう。
インフラ構築・運営
空飛ぶクルマを普及させるためには、離着陸スペースである「Vertiport(バーティポート)」を設置していく必要があります。ただ、現状として設置数が少ないので増やしていく必要があります。
また、高層ビルの屋上などにヘリポートが設置されていますが、空飛ぶクルマ向けに作られたものではありません。準備するにあたっても時間がかかるので、今すぐ準備する必要があります。空飛ぶクルマを活用した街づくりが今後されていくでしょう。
まとめ
今回の記事では、なぜ空飛ぶ「クルマ」と呼ばれるのか、考えられる理由を紹介するとともに、ヘリコプターとの違いはどこにあるのかも合わせて紹介しました。
空飛ぶ「クルマ」と表記することで、大衆に普及させる意図があると考えられます。国や企業(航空企業、自動車メーカーなど)も空飛ぶクルマを普及させるために尽力しています。今後の展開に注目していきましょう。