「近い将来、空飛ぶクルマが実用化される時代がやってくる」
ライト兄弟が初の有人飛行に成功したのが1903年で、それから100年以上が経過した現在にこんな時代が来ると誰が予想していたでしょうか。昔の人が今の時代にタイムスリップできたとしたら腰を抜かすかもしれません。
空飛ぶクルマを実用化するにあたって必要となるものがいくつかありますが、そのなかのひとつが離着陸できるスペースの確保です。そして、空飛ぶクルマ専用の離着陸場として設置されるものは「Vertiport(バーティポート)」といわれています。この名前にはあまり聞き馴染みがない人が多いのではないでしょうか。
今回の記事ではVertiport(バーティポート)とはなにか、既存のヘリポートを転用してはいけないのか、そして、Vertiport(バーティポート)の設備開発に取り組んでいる企業を紹介します。
空飛ぶクルマ実用化のためには必須であるVertiport(バーティポート)
Vertiport(バーティポート)とは、「空飛ぶクルマ専用のヘリポート」のようなもので、日本ではまだ馴染みがないものだといえます。今後、空飛ぶクルマが実用化されるにあたって無くてはならない存在になるもので、世界のみならず日本でも設備開発に取り組んでいます。Vertiport(バーティポート)がいくつも出来ることによって、道路や高層ビルなどあらゆるインフラとネットワークで繋がり、新しい交通インフラのハブとして機能することが期待されています。
Vertiport(バーティポート)が必要な理由
既存のヘリポートとしていくつもあるにもかかわらず、なぜVertiport(バーティポート)が必要なのでしょうか。Hマーク(緊急離着陸場)やRマーク(緊急救助用スペース)との違いなどにも触れて解説します。以下のような理由からVertiport(バーティポート)が必要だと考えられています。
設置目的の違い
緊急離着陸場や緊急救助用スペースは、緊急時における救護活動や消防活動の円滑化のために作られたものです。空飛ぶクルマが実用化された場合、反復した離着陸が想定されます。すなわち、緊急時に利用するのではなく、常時利用されるものとして想定しているので、何より安全性を重視しないといけません。緊急時のみに利用する緊急離着陸場や緊急救助用スペースが安全性を担保できるかは未知数なのです。
利用者の違い
緊急離着陸場や緊急救助用スペースはあくまで緊急時に利用されるものであって、日常的に利用されることを想定していません。たとえば、火災が起きたときの救助人を運んだりするためであったり、そのときだけしか利用しないので利用者の動線についてはあまり意識されていない設計となっています。
ただし、空飛ぶクルマが実用化された場合は、商用利用されたり人々の足として使われることが想定されるので、利用者の動線確保を考えていかなければいけません。離着陸できる場所までの距離が離れているのでは不便さを感じてしまうので、普及していくのが困難になる可能性があります。
Vertiport(バーティポート)についての海外企業の取り組み
以下では、Vertiport(バーティポート)設置開発について取り組んでいる海外企業を3社紹介します。
Vertiport(バーティポート)会社①:Skyports
イギリスのSkyports社は、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発する企業と協力し、あらゆる機種の空飛ぶクルマが安全に離着陸できる飛行場を目指しています。
2019年にシンガポールの「26th ITS World Congress」というイベントで、ドイツのVolocopter社と共同開発をした空飛ぶクルマ向け離着陸場のコンセプトモデルを発表しています。また、2022年にエアアジアと共同で空飛ぶタクシー網をマレーシア国内に構築する計画も発表しています。
Vertiport(バーティポート)会社②:EHang
中国のEHang社は、2021年にEHang社の乗用AAV(自律型航空機)である「EH216」のヨーロッパ展開に向けて、イタリア国内にVertiport(バーティポート)を建設する計画を発表しました。
EHang社のVertiport(バーティポート)は、イタリアのGiancarlo Zema Design Groupがデザインしています。木材・プラスチック再生複合材などのグリーン建材を用いて建設され、EH216を充電するための電力を生成できます。また、EHangとGiancarlo Zema Design Groupは、グローバルエコツーリズム市場への参入を目指し、ヨーロッパと東南アジアで複数のプロジェクトを計画しています。
Vertiport(バーティポート)会社③:Urban-Air Port
イギリスのUrban Air Port社は、2022年にイギリス中部の都市コベントリーで、世界初のVertiport(バーティポート)「Air-One」をオープンしました。今後5年間で200以上のVertiport(バーティポート)を作る計画を立てています。
Air-Oneはプリンのような形の円錐台になっていて、容易に組み立てができる構造となっています。設計から製造、運用までの工程は15カ月かかっていて、地面からエアポートの頂上にかけて階段が設置されています。円錐内の空間は、空飛ぶクルマを利用する人向けの待合スペースとしても活用できます。
Vertiport(バーティポート)についての日本企業の取り組み
以下では、Vertiport(バーティポート)設置開発について取り組んでいる日本企業を2社紹介します。
兼松株式会社
兼松株式会社は、Skyports社と資本業務提携し、日本国内での共同事業の開発・運営のための合弁会社を2024年までに設立することで基本合意しました。両社は設立する合弁会社を主体として、空飛ぶクルマ実用化に合わせて、Vertiport(バーティポート)を設置・運営し、地域における空飛ぶクルマのネットワーク拡大に向けた取組みを進めていきます。
ブルーイノベーション株式会社
ブルーイノベーション株式会社は、2017年からVertiport(バーティポート)の開発を開始し、その後各自治体や企業と様々な実証実験をしてきました。そして、2022年6月にUrban Air Port社と業務提携したことを発表しています。今後は空飛ぶクルマのVertiport(バーティポート)の早期実用化に向けて、共同開発や国内での実証実験をしていきます。
まとめ
今回の記事では、Vertiport(バーティポート)について詳しく紹介してきました。今後空飛ぶクルマが実用化されるにあたって、既存のヘリポートを転用するのが難しいと考えられます。なので、できる限り早くVertiport(バーティポート)の設置を準備していくことを検討する必要があります。
そして、さまざまな企業がVertiport(バーティポート)開発に尽力しているので、今後の推移にも注目していきましょう。
株式会社アリラとは
私たちは空飛ぶ車社会の実現に向けて離発着帯(バーティポート(Virtiportと英語表記))の開発でインフラ面を支えます。
エアタクシーや物流ドローンの空の社会実現にはまだ程遠く、私たちはヘリポートをまずは開発し、日本国民が自由にヘリコプターでいけるようハードウェア開発とオンラインサイトを立ち上げヘリポートの自由化を目指します。
現状、ヘリポートはどこにあるのか知る手立てが一般人にはなく、航空会社の派閥の影響でヘリポート情報は解禁されていません。
その情報をオープンにして利用客の利便性向上に努めます。